「小坪」寺巡り
「小坪」寺巡り
材木座光明寺を起点に住吉城址周辺を巡って小坪漁港前へ至る
変化に富んだ楽しいルート

 小坪寺 海前寺 正覚寺 佛乗院

左:光明寺記主庭園の蓮の花。7月半ばごろ撮影 右:

JR鎌倉駅発逗子駅行きバスを光明寺前で下車。

天照山蓮華院光明寺は、第四代執権・北条経時が浄土宗第三祖・然阿良忠(ねんなりょうちゅう)を迎え、寛元元(1243)年開いたと伝わる浄土宗の大本山である。夏のお十夜や小堀遠州の弟子作とされる記主庭園の蓮でも広く知られた寺である。そういえば、高倉健さんのお墓は、この寺に建てられた。

光明寺の所在地は、鎌倉市材木座。小坪の内ではない。が、小坪の寺巡りはここから始めると、歴史的にも興味深く、また、行程も変化に富んでいて、小坪らしさを愉しめる。

まずは、阿弥陀如来像(県重文)を安置する本堂にお参りを。続いて、本堂の向かって右に並ぶ延命地蔵尊・網引地蔵尊とお参りした後は、地蔵尊左手、寺と右隣の材木座幼稚園の間をちょっと失礼させていただいて、寺を回り込む形で続く細い路をずんずん進んで行く。細道はやがて石段へと行き当り、登れば、高台に到着。

この高台から望む名刹の瓦の向こうに広がる相模湾も、なかなかの絶景だ。

「かながわ景勝50選」の一。「光明寺裏山の展望」との石碑があった。

延命地蔵尊・網引地蔵尊
光明寺と相模湾
「光明寺裏山の展望」の石碑
左:延命地蔵尊・網引地蔵尊 中:光明寺裏山から寺と相模湾を望む 右:「光明寺裏山の展望」の石碑

ここは、夏になれば、人波に飲み込まれることなく材木座海岸の花火を心ゆくまで遠望できる地元民とっておきの鑑賞ポイントにもなるのだそうだ。とってつけたように設置された「見晴台」(プラスチック製?)とやらは、少し、興ざめか。

小坪坂の階段
小坪坂の階段
小坪坂上の階段を上がれば道はすぐ下り坂となる

見晴台のすぐ先鎌倉中学の校門前で小坪坂に行き当たる。いわゆる披露山ハイキングコースのルートである。ここから坂の上まで登ってさらに私有かと見まがうばかりの階段を登ったらすぐに下り、細い道がくねくねと続く。姥子台下まで出たらハイキングコースを外れ、国道134号線を渡って反対側の丘の中腹を巡る細い路へ。いよいよ、小坪寺、海前寺 正覚寺と三浦氏の山城・住吉城址周辺の三寺巡りの始まりである。ちなみに、かつては、この丘の目前まで海が迫っていた。海前寺から正覚寺までの海沿いの道は小坪切通と呼ばれ、古東海道の道筋と考えられる。

三寺巡りが終わったら、正覚寺の横手から丘上まで登って住吉隧道を抜け、今度は小坪漁港方向へ下っていく。漁港を回り込んでいった港最奥に、仏乗院が佇んでいる。

小坪寺
小坪寺
小坪寺

小坪寺(しょうへいじ)[中里町]
傳法輪山二尊院小坪寺。浄土宗の寺。光明寺の末。
本尊:阿弥陀如来(定朝作、火災による損傷が激しく東京芝・清光寺から寄贈を受ける)、延命地蔵菩薩立像(伝運慶作)、魚籃観音(右手に鯛を持つ)。
明治40(1907)年に焼失した、報身院(1473年=文明5年創設)と香蔵寺(創建は報身院より古いとされる)を合併し、明治42(1909)年、行念上人が香蔵寺跡に再興・創建。本堂は、円覚寺の塔頭を譲り受けたもの。大正12(1923)年、関東大震災で本堂は全壊。光明寺の経蔵を譲り受け再建。
明治4(1871)年9月、小坪村香蔵寺内に堀内郷学校(堀内村(現葉山町)相福寺)小坪支校を開校。明治7(1874)年に香蔵寺の本堂を仮校舎として「鷺浦学舎」とした。翌年小坪小学校と改名(現在の小坪小学校は、明治31(1898)年に、同地から移転してきたもの)。
     住所:〒249-0008 神奈川県逗子市小坪5-4-15
     電話:0467-23-1771

海前寺
海前寺

海前寺[西町]
供養山三宝院海前寺。逗子市唯一の時宗の寺。時宗の総本山清浄光寺(=遊行寺、藤沢市)の末寺。
本尊:木造阿弥陀三尊(張りの強い面部や写実性を持つ衣紋に見られる作風から、室町時代の作とされる。市指定重要文化財)。木造阿弥陀如来(胎内に納められた墨書の銘文から文政13(1830)年に修理されたことが分かる)・観音菩薩(蓮台を捧げる)・勢至菩薩立像(合掌している)。
永和2(1376)年、厳阿上人が小坪漁民の念仏道場として開山。名の通り、埋め立て以前は寺の前まで海だった。本堂背後には住吉城のあった丘陵の岩壁が聳え立っている。古くから遊行寺の僧が住職を兼務することから、江戸時代には時宗歴代上人の隠居所のような寺となっていた。
文久2年(1862)火災により本堂焼失。翌年、報身院の観音堂を譲り受けて仮本堂とする(「逗子町誌」)。後、慶応元(1865)年に本堂建立、昭和8(1933)年に再建し、現在に至る。本堂裏には首塚、やぐら、寺下の庚申塔から、小坪の西の境だったことが知れる。
     住所:〒249-0008 神奈川県逗子市小坪5-10-17
     電話:0467-25-4840

正覚寺
正覚寺
正覚寺。裏の石段を登れば、住吉城址。住吉神社の祠があるり、かつての抜け穴の入口がぽっかりと空いている

正覚寺
住吉山悟真院正覚寺。飯島岬住吉谷に建てられた浄土宗の寺。光明寺の末寺。
本尊:阿弥陀如来
仁治元(1240)年、鎌倉に入った然阿良忠上人が、「良忠院悟真寺」として開山。この年、良忠上人に帰依した四代執権・北条経時は、佐助ヶ谷に蓮華寺を創建したと伝わる(これが光明寺。材木座後改名された)。
永正12(1512)年、三浦堂寸と北条早雲との戦いの際、住吉城落城とともに類焼して廃寺となる。1541(天文10)年、光明寺十八世・快誉により再興。 当初は「良忠院悟真寺」と称されていた。相模湾が一望できる。
     住所:神奈川県逗子市小坪5-12-2
     電話:0467-22-7204

正覚寺本堂右横手に回り込んで階段を上がっていくと住吉城址。住吉城の鎮守として創建された住吉社がある。社の背後の抜け穴は、道寸の邸宅があった「げんじがやど」から海前寺へと通じていたそうだ。本堂左手の坂を住吉城址の方へ右折せずさらに登っていけば、住吉隧道に至る。ここをくぐれば小坪隧道(トンネル)上あたりで、姥子台、小坪漁港へと下っていける。

小坪隧道(トンネル)
眺望
小坪漁港
左:僅か数メートルほどの住吉隧道。バイクで登ってきた郵便配達さんもここから先は徒歩で 中:住吉隧道を抜ければ小坪隧道(バスが通っている)が見下ろせる 右:夕方の小坪漁港
仏乗院
仏乗院
仏乗院

佛乗院[南町]
海潮山佛乗院阿弥陀寺。高野山真言宗の寺。逗子村延命寺末(「新編相模風土記稿」)。
本尊:木造阿弥陀如来立像(鎌倉時代の作。二尺三寸。市指定文化財)。不動尊(高野山より分たれたもの、二尺三寸)・木造弘法大師挫像(天和元=1681年)・千手観音像・虚空蔵菩薩像
宝永2年(1705)の創建。創建当時は、南海印山佛乗院と称されていた(宝永2年の阿弥陀如来像胎内文書から)。江戸末期は、高養寺(後に浪子不動と呼ばれる)を末寺としていた。明治4(1871)年から三年の間、本堂は堀内郷学校の小坪支校の仮校舎となる。現在は、モダンな外観となったが、安置される阿弥陀如来像は、鎌倉時代後期の作風をよく伝える市内屈指の作。また、本堂横には、諏訪神社(元宮)、参道側には庚申塚あり。小坪漁港の最奥に位置する。
     住所:〒249-0008 神奈川県逗子市小坪4-26-3
     電話:0467-23-3274