Fair Trade in Zushi
1. はじめに
1. 逗子市、日本で三番目の「フェアトレード・タウン」となる
先行二都市は、それぞれ、74万、230万の人口を擁する大都市、それに対し逗子市は人口5万8千人ほどの小都市にすぎず、言って見れば、知名度もそこそこ。それが、なんと、国内で三番目にフェアトレード・タウン宣言をしてしまったわけです(このあたり逗子市民としての感情が入りすぎかも)。



現在、逗子市につづいて、札幌市、宇都宮市、一宮市などの諸都市が、フェアトレード・タウン認定を目指し準備を進めていて、日本国内でも、フェアトレード自体が、徐々に浸透してきているように思われます。
ちなみに、世界では、現在までに27カ国、1802件がフェアトレードタウンを宣言(2016年5月現在)。また、フェアトレード発祥の地・イギリスで2012年に開催されたロンドン・オリンピックにおいて、選手村などでフェアトレード製品が全面的に採用されました(東京オリンピックではどうなるんでしょう…)。
世界中で、フェアトレード、頑張ってます。
かけがえのない環境と命を守り、持続可能な未来に向けて、いま、フェアトレードは、世界的な潮流になったように感じます。フェアトレードは、未来に向けてのキーワードの一つなのかもしれません。
ところで、というか、しかし……フェアトレードって、そもそも、何?
言葉そのものを聞いたことはあるけれど、正確には、あるいは詳しくは知らないという人、意外と多いのではないでしょうか。執筆者自身も、「なんとなくよさそう」というあいまいな認識のまま深くその意味などを考えることもなく、フェアトレード製品を使ったり、プレゼントしたり(バレンタイン・チョコとかピッタリ)、勧めたりしています。
フェアトレード、すなわち「Fair Trade」。直訳すれば「公平な貿易」という意味ですが、でも、ならば「公平な貿易」って、いったい、どういう貿易?
そこで、まずは国際フェアトレードラベル機構傘下の日本での認証機関「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)」のホームページで、「フェアトレードの定義」を見てみると、
「フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」を いいます」
とある。なるほど。
なんとなく概念はつかめましたが、しかし、実感が涌かないというか、「適正な価格で継続的に購入する」といわれても、自分たちが何をどこで購入するか、いまひとつ具体的に想像することが難しそう。そもそも、みんなフェアトレード製品を日常的に使ってるんだろうか? というか、ご近所で見たことあるんだろうか? という初歩的な疑問に帰り着いたのでした。
そこで、このたび逗子市がフェアトレードタウンとなったこの機会に、あらためて(というか初めて?)、フェアトレードについてちゃんと考えてみることにしました。本来ならば、論理的に定義や歴史からまとめていくのでしょうが、執筆者が遭遇したフェアトレードがらみのことどもを切り口に、なんでもありの「小坪大百科」流にフェアトレードに迫ってみることにしたいと思います。
市民、行政、企業、小売店、学校などが一体となり、地域ぐるみでフェアトレードを応援し、広めようと取り組んでいる自治体。フェアトレード・タウン運動は、2000年にイギリスのガースタングではじまり、現在26か国1700以上の都市が宣言をしている。その認定は、各国のフェアトレード認証機関が行っている。日本の場合は、日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)。
基準1:推進組織の設立と支持層の拡大
(逗子の場合:2011年発足の「逗子フェアトレードタウン勉強会」をベースに、2015年5月「フェアトレードタウンの会」を設立)
基準2:運動の展開と市民の啓発…イベントやキャンペーン
(講座、イベント)
基準3:地域社会への浸透…地元企業や学校・病院などの組織の中でフェアトレード産品の積極的利用ほか。
基準4:地域活性化への貢献 …地産地消やまちづくり、環境活動、障がい者支援等のコミュニティ活動と連携。
基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供…地域人口1万人当たり1店。
(逗子の場合:13店 詳しくは、第3章の2参照)
基準6:自治体によるフェアトレードの支持と…地元議会によるフェアトレード支持決議および自治体首長によるフェアトレード支持の公式表明。
(逗子の場合:「フェアトレードを支持するとの決議」逗子市議会全会一致で採択 2016年3月22日/「逗子市フェアトレードタウン宣言」平井竜一逗子市長 2016年4月15日)
【参考URL】
手始めに、市内のフェアトレード製品と対面かつ調査するためにスーパーに潜入することにしました。まあ、買い物に、行っただけですけど。フェアトレードタウンとなった逗子ですから、フェアトレード製品を販売しているショップはいくつもあります(Ⅲ章で紹介)が、日常的に広く利用されているスーパーから覗いてみました。
フェアトレード製品を探すには、フェアトレードであることを示すマーク注3が目印になります。駅前のスーパーで見つけたのは、はからずも、同じブランドのコーヒーでした。



フェアトレード製品を見分けるには便利な認証マーク。ただし、フェアトレードの製品すべてについているわけではありません。

